塩飽本島は瀬戸内海にある香川県丸亀市の島で、すぐ東側には瀬戸大橋が架かっています。人口は2百数十人、周囲16キロほどの島です。海運業などで栄えた当時の繁栄を偲ばせる古い街並みが残っており、「笠島」地区は国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。
※写真下に撮影日の記載があるもの以外はすべて2023年6月19日撮影です。
本島へ向かいます
丸亀港を利用する際はこの「丸亀市港駐車場」の利用が便利です。
左後ろに見える白い建物が丸亀港のフェリーターミナルです。
料金は日帰りの場合、最大でも500円。
港との間にある道路をトンネルで抜けるとすぐフェリーターミナルです。
丸亀港フェリーターミナル。建物の右側後ろに、これから乗船する本島行きフェリーの煙突が見えています。
本島までの往復きっぷ(1070円)を買って船へと向かいます。
乗船したら、両サイドにある階段を上がり客室へと進みます。
本島までは約30分。途中左側に見える島は牛島です。
本島に到着です
船を降りてすぐ、本島汽船待合所で島巡り用の自転車を借ります。
普通の自転車が1日500円で、電動アシスト付き自転車は1500円です。
電源の入れ方やギアの変え方など簡単な説明を受けたら出発です。
初めての電動自転車。電源を入れ、少し踏み込むとグンと前に飛び出します。
重要伝統的建造物群保存地区「丸亀市塩飽本島町笠島」
本島へは今回で3回目の訪問。
今回の旅の一番の目的は古い街並みが残る「笠島」地区の撮影です。
前回の訪問時は見事な逆光で撮影に失敗。今回はその失敗を取り返すべく最悪朝夕2回訪問するくらいのつもりでいました。
港付近で立ち寄りたい場所もいくつかありましたが、一目散に「笠島」地区へと向かいます。
「笠島」地区は国の重要伝統的建造物群保存地区に指定された古い街並みが残るエリアです。
格子構えの立派な木造建築やなまこ壁の建物など、当時の繁栄ぶりが偲ばれます。
吉田邸。定休日らしく門が閉まっていました。
塩飽大工最後の仕事の家ということで、さまざまな意匠が凝らされた建物だそうです。
若冲と応挙の作品もあるようで、若冲の作品には「なんでも鑑定団」で1500万円の評価額がついたそうです。
近隣の金刀比羅宮もまた若冲と応挙の作品があることで知られています。金刀比羅宮は海の神様でもあって塩飽水軍の本拠地だった本島の人たちとは少なからず縁はあると思います。若冲と応挙の作品を所蔵するに至った経緯を聞いてみたいものです。
懐かしいタイプの郵便ポストを島内で何度か目にしました。
笠島 〜 屋釜 〜 大浦
海の向こうに見える緑は無人島「向島」。
「岩黒島橋」越しに大槌島。
奥に見えるのは「櫃石島橋」。
両サイドをダンチク(ヨシタケ)に囲まれた、なんとなく南国感あふれる道。
屋釜海水浴場のあたりで左折。高無坊山石切丁場跡へ。
かなりの上り坂。電動自転車が本当にありがたい。
石切場遊歩道入口の階段です。階段下左側の岩には細川家の刻印が見られます。
県道257号へ戻り、再び西へと向かいます。
ちょっと寄り道。大浦の海岸へと下りる急な坂道です。
本道に戻り少し進むと、両側に湿地帯がある広いエリアに出ました。
サギの仲間や鴨、トンボなどがあちこちにいます。
大浦〜福田〜尻浜〜生ノ浜〜小阪〜泊
「尻浜」地区の手前あたり。気持ちのいい海沿いの道です。
「生ノ浜」地区にて夫婦倉。
静かな海辺の村に建つ立派な蔵です。何を納めるための蔵なんでしょう。
ゆるぎ岩観音。
上に乗った岩がゆらゆらと動くらしい。落ちそうで落ちないことから合格祈願の場所としても親しまれているそう。
道路の上の急斜面には大きな岩がたくさん。ほとんどの岩がワイヤーで固定されています。
ここまで結構ゆっくり見て回ったはずなのに、予定より1本早い船に間に合いそうってことでこの辺りから港近くまでは寄り道もせずただ自転車を走らせました。
港のある泊地区まで戻ってきました
木烏神社
本島パークセンター
十分に一本早い船に乗れる時間でしたが、やはり予定通り17時10分の船で帰ることにしました。
時間に余裕ができたので「本島パークセンター」で食事を取ることにしました。
島を1周する間に喫茶や宿らしきものをいくつか見ましたが、この日(月曜日)利用できそうだったのは港のそばのこの施設だけ。
たくさん動いた割にお腹はあまり空いていなかったので、週替わりの魚定食ではなく軽食ですませることにしました。
季節のソーダ。この日は甘夏のソーダ。薄くスライスした皮や果実の粒がたくさん入っていてとても美味しかったです。
ホットドッグも美味しくいただきました。
この後は、朝立ち寄らずに素通りした場所をいくつか訪ねてみようと思います。
惣光寺
2013年の芸術祭の時に立ち寄ったお寺で、今回訪ねて見たかった場所のひとつです。
アーティストにより一面銀色に塗られた本堂が現在どうなっているのか確認したかったからです。
びっくりです。本堂らしきものはどこにも見当たらず、一面が笹などの植物で覆われています。
以下3点の写真は2013年瀬戸内芸術祭の会場になっていた時のものです。参考にどうぞ。
当時から廃寺だったのか、それとも廃寺になることが予定されていたのか、詳細はまったくわかりませんがそういった場所をアートにする試みはとても面白いと思います。
その場所の歴史などを踏まえた上で行う際どいアートの試みは賛否あるかもしれませんが大好物です。
長徳寺のモッコク
笠島・甲生地区の埋め墓
泊港へと戻ります
埋め墓のすぐ横にあった芸術祭の作品「善根湯×版築プロジェクト」齊藤正×続・塩飽大工衆の一部。
再び道をそれ、甲生地区へ向かう途中に見つけた植物と一体化した車。
塩飽勤番所も月曜日で定休日だったため建物を敷地外から撮影です。
勤番所は昔この土地を治めていた4人の年寄が交代で勤務していた場所で、信長・秀吉・家康からの朱印状や海路図などさまざまな資料が展示されています。
以下2点は10年前に撮影したものです。
展示されていた咸臨丸の模型。水夫の多くがこの土地の出身者だったそうです。
なぜだかは自分でもよくわかりませんが昔からコカコーラの看板が好きでした。
なかでもイチオシだった看板がこの場所にあって、今回きっちり撮影するつもりでしたが建物自体が無くなっていました。
個人的には本島にある文化遺産のひとつだと思っていただけに残念です。
以下はありし日のコカコーラの看板です。
まとめ
すぐそばにかかる瀬戸大橋や瀬戸内海の多島美はもちろん、香川や岡山の家並みもはっきりと見ることができる素晴らしい景観。
加えて国の重要伝統的建造物群保存地区に指定された古い街並みや埋め墓の風景、大阪城や丸亀城の石垣に使われた石の石切場など、歴史文化自然すべてで見どころ盛り沢山な島です。
そして何より気に入ったのが島をぐるりと1周する道。
大雑把な印象だと植物と植物、もしくは植物と海に挟まれた道です。
距離は1周しても10数キロ程度なので、もし一気に走れば全然1時間とかかからないくらいです。
でも、そんな勿体無いことはしません。脇道にそれたり、通り過ぎた風景がやっぱり気になってちょっと戻ってみたり、そんなことが楽しいんです。
泊港や笠島の周辺では人を見かけたり、車とすれ違ったりも多少ありますが島の北側や西側あたりを走っているときは車には一度も出会わなかった気がします。
自然の中で地味〜にテンションが上がって楽しい旅でした。
電動自転車について
今回自分的に大きかったのは初めて電動アシスト付き自転車を利用したこと。
港と一番の観光地である笠島地区との間を往復するだけなら、ほとんど坂道もないので普通の自転車で十分です。あるいはのんびり徒歩でもいいかもしれません。
ただ、島を1周する予定の方には電動自転車は必須です。
たくさんある坂道を快適に走ることができるため、時間と労力を大幅に節約できます。その結果、躊躇なく脇道にそれたりできるようになり、より多くの風景に出会うことができます。
結構距離を走るのでバッテリー切れが心配でしたが、そんな心配は無用でした。
バッテリーの数字は57からスタート。心配性で下り坂や平地では電源をオフにしていたこともあって、度々横道にそれながら島を1周したわけですがまだまだ残量たっぷり35の表示が出た状態で自転車を返却です。
長時間乗ると流石にお尻は痛くなってきますが、本当にありがたかったです。
コメント