すべての客室が個室のフェリーです
オレンジフェリーには八幡浜と臼杵を結ぶルートや新居浜と神戸を結ぶルートもありますが、
今回は西条東予港と大阪南港の間を運行するフェリーのお話です。
長年利用していた「おれんじ7」・「おれんじ8」が相次いで引退したのが2018年。
以降は「おれんじ えひめ」と「おれんじ おおさか」の2隻が同じ航路を引き継ぎました。
この引き継ぎが革命的で、一番安いクラスも含めてすべての客室が個室化されるという画期的なものでした。
瀬戸内海を走る船としては最大級、全長199.9mの巨大な客船です。
東予港にて
愛媛側の乗船場所である東予港へ車でやってきた場合、どこに停めるか場所をきちんと選ぶ必要があります。
車を船に乗せる場合以外はこの看板の手前を左折です。
送迎時に短時間駐車するだけなら黄色の駐車場が便利。乗ってきた車を駐車場に置いて船に乗る場合は緑の駐車場(立体駐車場)の利用となります。駐車場の利用料は無料です。
WEB予約をすれば料金が5%値引きされ、乗船名簿の記入も不要なので可能な方はネットで予約しましょう。
※WEB予約で往復利用の場合は、往路が5%(WEB割引)、復路が10%(往復割引)値引きされます。
事前に電話申し込みをした方、当日申し込みの方は乗船名簿への記入が必要です。
WEB申し込みの方はカウンターでスマホの予約画面を見せるだけでOK。
電話予約・当日申し込みの方は記入を済ませた乗船名簿を提出します。
カウンターで料金を支払い、乗船券を受け取ったらエスカレーターで3階へと向かいます。もちろんエレベーターもありますのでお好きな方でどうぞ。
2階の踊り場にある和牛の疲れたら愛媛ポスター。
3階、フェリーへの連絡通路。突き当たりがフェリー入り口です。
乗船は20時から可能。早く着きすぎた場合にはすぐ横に広い待合スペースが用意されています。
オレンジフェリー船内にて
絨毯や船体横のラインなど各所に青が使われているのが「おれんじ おおさか」。
赤やオレンジ系の色が使われているのが「おれんじ えひめ」です。
ちょっとした情報ですが、知っていると今自分が乗っている船がどちらなのかは一目瞭然です。
船の中とは思えない豪華な内装です。
デッキに出る場所は何ヶ所もあって、運行中も風景などを屋外で楽しむことができます。
各階に休憩スペースも設けられています。
貴重品入れです。小さな封筒に入るサイズのものであればカウンターでも預かっていただけます。
100m近くありそうな4階進行方向右側の客室通路。右外側がデラックスシングル、左内側にはシングルの部屋があります。
デラックスシングルの部屋
デラックスシングルの部屋。下から2番目ランクのお部屋でこの内容。トイレやユニットバスを無くしたビジネスホテルって感じで、カーテンの向こうはすぐ海です。テレビでは地デジ、BSのほか、航行中の現在位置なども表示されます。
地デジのチャンネルなどの一部は出航後しばらくすると映らなくなったりします。
枕元でライトの調整ができるのも便利です。
部屋の奥から入口方向。このクラスから上は船に乗る際カウンターで部屋の鍵を受け取ります。
部屋を離れる時、鍵をかけることができるのがシングルの部屋との大きな違いです。
消臭スプレーやハンドソープ、加湿器など備品も充実しています。コンセントも3箇所あって何かと便利です。
壁には絵が掛かっています。
デラックスシングルを利用するたびにいただく、巾着に入ったタオルと歯磨きのお泊まりセット。往復で2個ゲットです。
さて、ここで問題です。我が家にはこれがいくつあるでしょう? 年間約10回利用するオレンジフェリー。一部処分してしまいましたが、それでも30数個。えげつない数です。もう要りません。業者、利用者双方にメリットがある改善策が色々あると思いますがいかがでしょう。
ちなみにこのタオルは船内の自販機で購入すると350円、歯ブラシのセットは150円です。
シングルの部屋
シングルの部屋は船内を縦に伸びる長い廊下の内側にあって、
扉を開けて入ると中央の通路の両側に9部屋づつ設置されています(4階の場合)。
上の写真だと、44番の部屋の中にある1号室ということになります。
部屋の奥から入口方向。
入口の扉は横にスライドするタイプで、内側からだけですが鍵をかけることができます。
備品はかなり限定的で、寝具の他は椅子とスリッパとハンガーくらい。
机の下には救命胴衣が入っています。
空調は何もしなくても快適だと思いますが、天井の吹き出し口を操作することで調整することも可能です。
部屋は確かに狭いですが、休憩スペースは船内に多数用意されており、寝るだけってことならなんの不都合もないと思います。
レストランにて
支払いは現金か、PayPay、LINE Pay、Alipayです。
通路に沿ってずらりと並んでいる好きな料理のお皿を選ぶか、壁にかかったメニューから選ぶかして注文します。
好きな席に座り、番号が呼ばれたらレジ横まで取りに行き、食事が終わったら返却場所に皿などを戻します。
船内レストランにて焼肉定食900円。コスパはもうひとつですが移動空間での食事は楽しいもの。
簡単な食事のほかにお酒もいろいろそろってます。
お風呂にて
男湯入り口。船が新しくなりサウナは無くなりましたが、代わりにシャワー室ができました。
脱衣場には鍵のかかるロッカーや体重計、無料のドライヤーなど必要なものはだいたい揃っています。
浴室では外の風景を楽しみながらのんびり入浴することができます。洗い場は席数がたっぷりあり、シャンプーやボディーソープなども常備されています。
シャワールームの利用状況は入り口そばの表示板で確認できます。
フロント横の階段を上がったところにある大きな絵
福島万里子「シンギュラリティ・イヴ」(おれんじ おおさか)
福島万里子「フライングガーデン」(おれんじ えひめ)
ちょっとした縁があって知ることになった、この2点の絵に関するエピソードをご紹介です。
この絵の作者である福島さんが銀座で個展を開いていた時、偶然画廊の社長夫妻をを尋ねて見えられたのが今治造船の社長さん。その場で作品数点を購入していただき、そして数年後に再び連絡をいただき新造船のオレンジフェリーに寄贈する絵ということで制作依頼を受けたとのこと。アーティストにとってはまるでおとぎ話のようなお話。制作にあたっては、画面に大きな流れを作り出すことに苦心されたそうです。
その他 船内いろいろ
ゲームコーナー。
マッサージチェア。
飲み物やアイスクリームの自販機。
歯ブラシや髭剃り、タオルなども売られています。
売店がなくなったため、おつまみやお菓子は自販機で。
Wi-Fiの接続方法が書かれた張り紙。
Wi-Fiは1回30分までで最大8回使えるとのことですが、量に限りがあるということで度々切断されます。データ使用量の多い動画の視聴などはできれば控えてくださいとのことでした。
大阪南港にて
すぐお隣に停泊中の船は、30分前に入港済みの「名門大洋フェリー きたきゅうしゅうII」
船を出てからはこの通路を通ってフェリーターミナルへと向かいます。
フェリーターミナル入り口付近。この辺りまででフェリーから約100m。
夜に再びこの場所に戻ってくる場合は、いらない荷物をロッカーに預けておくこともできます(有料)。
ターミナル1階にあるオレンジフェリーの切符売り場。
ターミナル2階にある待合スペース。夜、西条行きの乗船開始は20時です。
フェリーターミナルからニュートラムの駅まではさらに200mほど歩く必要があります。
ニュートラムのフェリーターミナル駅のホームからの眺望。
中央左が「名門大洋フェリー」で右側が「オレンジフェリー」
夜。帰り道の風景。
乗船後、デッキから北側方向の眺望。画面中央に天保山の観覧車が見えています。
凄まじい風が吹くなか、デッキから神戸方向を撮影。結構離れたところを航海していたため60mmのレンズではこのくらいが限界。ISO16000、1/25で撮影。
部屋の窓ガラス越しに明石海峡大橋を撮影。23時15分頃橋の下を通過(大阪→愛媛の場合)です。
まとめ
夜10時出港で朝6時到着(西条発、大阪発どちらも同じ)という夜間の運行で、ほとんど景色を楽しめないのは残念ですが、寝ている間に目的地に着くとっても便利な移動手段です。
ホテル代もいらないし、寝ている時間がそのまま移動時間なので時間もめいっぱい有効に活用できます。
そして個室のベッドで足をゆっくり伸ばして寝られるってことでとっても快適なんです。
旧船の2等寝台利用時に感じていた騒音や振動も新しい船になって大幅に改善されました。特別に神経質な方でなければ快適に睡眠をとることができると思います。
シングルのお部屋(あるのはベッドと机くらいのシンプルな部屋。鍵は内側からのみ)でも十分快適ですが、デラックスシングルがおすすめです。
片道1800円のプラスで、外からかかる鍵やテレビ、窓のついた部屋を利用することができます。一度この快適さを味わってしまうと贅沢とはわかっていてもなかなかシングルには戻れないですね。まだ利用したことがない人にはデラックスシングルおすすめです。
船の運賃も年々上がってきて、JRとほぼ同じになってきたのは残念ですが、快適さの面では圧勝です。愛媛・大阪ともに到着後、港から各地への移動手段がいろいろ用意されています。愛媛大阪間の移動をされる方はオレンジフェリーを選択肢のひとつにして検討されることをおすすめします。
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