初めての「大阪中之島美術館」①
「塩田千春 つながる私」展に行ってきました

「塩田千春 つながるアイ

🔸大阪中之島美術館 5階展示室 🔹2024年9月14日〜12月1日 ※巡回展はありません。

展覧会名の“つながる私”の私はアイと読みます。

アイはI(私・自分)であり、EYEであり、愛。

コロナ禍後の人々のつながりを意識して開催される展覧会です。

▪️塩田 千春(しおた ちはる)

大阪府岸和田市の出身で現在はベルリン在住。日本を代表する現代美術家のひとりで、内外で多数の展覧会。日本では2019年に森美術館で大規模な個展が開かれました。1972年生まれ。

「塩田千春 つながる私」展に入場です

「インターナルライン 」2022/2024

展覧会入口手前のスペースに展示されていた作品。

写真ではわかりにくいですが、床の手前で折り返されているのは赤いドレスの裾の部分。

下の階のトリオ展とこの展覧会のチケットはそれぞれ別に購入する必要があって、

トリオ展のチケットしか持っていない人は先に進めずここでUターンしてましたが、

結構これは重要な作品だったみたいで、この場所まで迷い込んできた人は結果的にラッキーだったんじゃないでしょうか。

入り口を入ったところで振り返り、先ほどの「インターナルライン」を違う角度から撮影してみました。

先ほどの赤い世界から一転、今度は白い世界です。

かなりの密度で張り巡らされた白い糸は自分的には蜘蛛の巣や菌類などのイメージですが、

作家さん的には次の写真のプレートに書かれているようなことなんだそうです。難しい。

黒い枠で囲まれた部分には水が張られていて、上から落ちてくる水滴が波紋を作ります。

偶然の産物ですが、入口の向こう側にある「インターナルライン」の一部が見えていて赤が写真的にはいいアクセントになっています。

それぞれに意味のある赤と白の出会いをさらに深読みして解釈してみようかとも思いましたが、ややこしい話になりそうなのでやめておきます。

「無題」1992
「風景」1992

塩田さんといえば赤い糸を使ったインスタレーション作品のイメージですが、以前にはこんな作品も描かれてたんですね。

当時、絵を描くことに行き詰まりを感じていたという塩田さん。この赤を基調にした2点の油絵は自分的には結構ツボなんですが、これらの作品の延長線上に未来は見えなかったってことでしょうか。

糸の作品を作り始める直前のターニングポイントになった作品なんだそうです。

「家から家」2022/2024

赤は血液であり、家族や国籍、宗教などのイメージもそこには含まれるとのこと。

帰るべき家(故郷?)はさまざまな事象や思いによってがんじがらめになっていて、現実世界の中にはすでに存在せず、心の中にだけあるのかもしれないというような捉え方でいいんでしょうか。

資料を見ながら漠然とそんなことを考えてみました。

「家から家」2022/2024
「多様な現実」2022/2024

天井から吊るされた白いドレスがずっと回り続けています。

そこにあるのはドレスだけで、肉体は存在しません。

作家はドレスを第2の皮膚と考えているため、それはある意味自分ではあるもののもちろん自分そのものではありません。

自らがまとっているさまざまなモノと自分自身との関係に思いを馳せるきっかけとなる作品ということでしょうか。

「つながる輪」2024

今回の展覧会のメインとなる作品です(多分)。

天井から吊るされた無数の赤い糸の中に散りばめられた白い紙は、

“つながり”をテーマに一般から募集した1500通以上のメッセージ。

「他者の自分」2024

これまでとは打って変わってかなり生々しく、不気味でちょっと怖いくらいの展示。

赤や黒の糸が張り巡らされた人体の模型など、どうしても不快感が先にきてしまいます。

作家はこれらの作品を作るにあたって

友人から臓器移植を受けた後に食べ物の嗜好が変わったエピソードなどを聞き、

臓器と意識のつながりというようなことも考えたとのこと。

パンフレット画像

表1
中面左
中面右
表4

まとめ

前回、中之島美術館に来たのは2022年の開館記念展の時ですが、

その時は入場制限で入れなかったため実質的には今回が初めてです。

塩田さんは瀬戸芸などで何度か作品を見たことがあり、名前と作風をなんとなく記憶していた感じの作家さん。

2019年の六本木「森美術館」での個展は記録的な観客数だったとのこと。

インスタ映えってことなんだと思います(違ってたらごめんなさい)が、若い女性の観客が多かったそうです。

インスタレーション的な作品は本来守備範囲外ですが、

実際に目の前で巨大な作品を見るとインパクトがありますね。

表面的な美しさを追うだけでも十分楽しいんですが、

今回はちょっとだけいつもと違う展覧会の楽しみ方にチャレンジしてみました。

生きるとは何か、自分と他人、精神と肉体の関係など、普段考えることはまずないんですが

今回は資料などを読んでにわか勉強をし、ちょっとだけ深入りして作家の考えなどに思いを巡らせてみたりしました。

張り巡らされた糸は、脳細胞のようでもあり、霧や菌類、電波、インターネットなどともイメージを重ね合わせることができるかもしれません。

いつも通り、思いこみ強め、すっとこどっこいな解釈ばかりで恥ずかしい限りですが、

人は失敗を糧に成長するんですってことでご容赦ください。

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