美術館を楽しむ5つの方法

東京在住時、新宿に住んで銀座へ仕事に出るという美術好きとしては非常に恵まれた環境にいて、ちょくちょく美術館やギャラリーに通っていた時期がありました。そんな自分の経験をもとに思いついたことをいくつか書かせていただきました。まったくの自己流ですが参考にしていただけたら嬉しいです。

① 身軽になろう

美術館と名のつくところには、ほぼほぼ例外なく入口そばに実質無料のロッカーが用意されています。

美術館に着いてまず一番にする仕事はロッカーの確保です。ただ、ロッカーの数には限りがあります。早い者勝ちの仁義なき世界です。一つのロッカーを複数人が狙う場合などは、お互いの人間力が試される試練の時間帯が訪れます(←おおげさ)。

人気の美術展で開館直後の時間帯など空きがないのはしょっちゅうです。時間に余裕のある時などは、ロッカーが空くのを待って入場するくらいでもいいかもしれません。

運よくロッカーが確保できた時は、バッグや上着をロッカーに押し込んで可能な限り身軽になりましょう

空調は万全か、暑すぎる場合のほぼどちらかです。もし冷房の効き過ぎなどで寒すぎる場合はすぐ、上着をとりにロッカーに戻りましょう。

京博だったと思いますが、大混雑の会場でリュックは背負わず、お腹の側に引っ掛けてくださいというアナウンスが繰り返し流されていたことがありました。色々と理由があって仕方がないんでしょうが、暑かったり、重かったり、痛かったりで、もはや美術鑑賞どころではありません。

② 展示作品の紙リストをゲットしよう

展示作品のリストをネットで見られるサービスが最近増えてきましたが、可能な限り紙のリストを手に入れましょう。ゲットできる確率は経験的に8割くらいです。展覧会場の入口付近に平積みされているケースが一番多いですが、もし見当たらない場合でも受付などで用意されている場合が結構あります。見当たらない場合は、スタッフの方にすぐ聞きましょう

リストの掲載順は実際の展示の順番に近いことがほとんどです。それぞれ番号が振られているので、目的の作品には比較的簡単にたどり着けると思います。リストには、作品名や作者名、制作年、技法、サイズ、所有者などが書かれています。

紙のリストのいいところは必要な情報にすぐたどり着けるところ、展覧会の全体像を一目で確認できるところです。まずはリストでその展覧会の大まかな構成、作品数などを把握した上で、展覧会場に突入しましょう。

あと、筆記用具の準備が必要です。作品に回復困難な傷がつくのを防止する目的で、使用できる筆記用具はほぼすべての美術館で鉛筆一択です。持ってない場合は、貸していただけるのでスタッフに声をかけてお願いしましょう。

③ メモを取ろう

作品のそばには説明文がついていることが多く、先ほど手に入れた作品リストには載っていない情報がたくさん書かれています。ここは大事、憶えておきたいというようなことがあればリストの余白などにどんどん書き込みましょう。

数千円する展覧会のカタログを購入する場合は別ですが、文字の作品リストだけを持ち帰る場合など、おぼろげに記憶している作品がリストのどの作品だったのか一致させるのはかなり難しい作業です。思い出すためのキーワードや、作品を簡略化したイラストなどを書いておくととても役にたちます。

具体的な情報だけでなく、自分がどう感じたか、大きい、きれいなど、ごくごくシンプルな感想だけでも後日作品を振り返る時にとても役にたちます。こんなことと思わずに思いついたことはどんどんリストの余白にメモしましょう

④ 2周しよう

目の前の作品がズバリ自分の好みだった場合どうでしょう。立ち止まってよく見ようとするでしょうし、テンションもじわじわ上がってきているはずです。そんな作品にいくつも出会った時、脳は押し寄せるさまざまな情報を処理しようと興奮状態、知らず知らずのうちに冷静さを失っているかもしれません。

その薄らぼんやりとした高揚感は幸福感でもあって気持ちのいいものです。ただ、そんな感情は長続きしません。一時的に気持ちが良くても、しばらく時間が経つと何も残らないような気がして、感動をより持続させるための方法を考えてみました。

一度冷静になって情報を整理した方が感動をよりはっきりと記憶に定着させられる気がしたんです。

で、何をするか。そう2周。2周するんです。

出口が入口のすぐそばにあるのはよくあることです。行けそうな時は、そのまま入口へ移動しましょう。無理そうな時は、作品には目もくれず今きた道を入り口まで一目散に逆走(歩?)します。

2周目は格段に冷静になっていることと思います。1周目で自分にとって重要な作品とそうでない作品の区別がなんとなくできているはずなので、どうでもいい作品(失礼!)は完全スルーで、自分好みの作品だけ再チェックします。

1周目たっぷり1時間かかっていたとしても、2周目は意外と5分くらいで回れたりするものです。そんなもんです。

⑤ その日のベスト5を決めよう

2周目を回りながら、もしくは回り終わった後でその日のベスト5を決定しましょう

そしてそれを後日振り返れるよう文字(データ)にして記録することが大事です。

人間の記憶力なんてたかが知れてます。何もしなければ1週間後には、今日得た情報のうち99.8%(いいかげん自分調べ)くらいは忘却の彼方へ旅立ってしまっているはずです。

難しいことを考えるのは不要です。ただ、大事なのはその日の自分の感情に正直であること。こんな絵を選んだら恥ずかしいとか、この絵は有名だから選んでおこうとか、そういうのは絶対ダメ。せっかくの時間がまったく無駄なものになってしまいます。

気に入った作品がまったく無かった場合、無理に選ぶ必要はありません。実際僕の場合も好きなジャンルが限られていることもあって気に入った作品が1点も無かったってことも結構あったりします。

選ぶ点数は3点でも7点でも構いません。そのへんはゆるくゆるく考えましょう。

ただ、いろいろ考えた後に選んだり選ばなかったりすることで、作品が記憶に刻まれる確率は格段に上がります

こういう作業を繰り返していく中で、自分の作品を見る目が変化し、次第に自分なりの価値観、傾向のようなものができてきます。その頃にはあなたもどっぷり美術ファン。美術館巡りが楽しくてたまらない、そんな感じになってるかもしれません。

作品の良し悪しなんて誰にもわかりません。時代の中である程度共通の認識があったりはしますが、それも時代が変わるとどうなるかわかったものじゃありません。自分が好きならそれでOK。人生楽しんだもん勝ちです。

おまけ 美術館のいいところ(若干イジってます)

●トイレがきれい

美術館のトイレはすいていることが多いです。掃除が行き届いてます。デザインものの便器があったりします。時々花が飾られていたりします。おすすめです。

●レストランやカフェがおしゃれ

ほとんど行ったことがないので正確ではありませんが、おしゃれ自慢の人たちがくつろいでます。

●和装美人をよく見かけます

銀座周辺で開催される日本画や陶芸などの展覧会などでは数人に一人くらいの割合で着物姿のご婦人を見かけたりします。すっごくおしゃれな人やすっごく独特な人を見かける確率も街中より高めです。

●ミュージアムショップが賑わってます

展覧会場を出た後、気がつくとショップに誘い込まれています。ショップの方が展覧会会場より人口密度が高いのはいつものこと。レジ待ちの行列が3回くらい折り返したりしてることもあります。

●とっても静か

一歩足を踏み入れると外の喧騒とはうってかわって静寂の世界。美術館の中で喋るのは悪って風潮がありますが、絵はテキトーなことを言いながら見るのが楽しいんです。騒ぐ子供をたしなめる母親なんてのもよくみる光景ですが、子供は騒ぐのがお仕事です。何も喋らず行儀良く絵を見る子供は逆に不気味です。ずっとは困りますが時には好奇心全開で、騒げ子供たちって感じですかね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました