知っておいて損はない
とってもお得な株式優待

株の取引で一定の条件を満たした場合に受け取ることができる株主優待。

今回は、株価の変動に影響されることなく、わずかな手数料を支払うだけで、

飲食物や日用品・商品券などを次々と獲得できる、

にわかには信じがたい夢のような方法の紹介です。

怪しいと感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、もちろん合法。

証券会社でも推奨されている「クロス取引」という手法です。

どんなにお得で、どんなリスクがあるのか、

実例を交えてなるべくわかりやすく説明します。

① こんなにお得に優待ゲット。実例で紹介します

株の取引をすることで得られる利益(損失)には

  • 株価が上がったり下がったりすることで得られる利益(損失)
  • 配当金(多くの銘柄で年に1~2回年利2〜4%程度の配当金を受け取ることができます。)
  • 株主優待(多くの銘柄で年に1~2回さまざまな品物やサービス、商品券などを受け取ることができます。)

などがありますが、

今回説明させていただくのはこのうちの株式優待について、リスクを最小限に抑えた上で、

飲食物や日用品、各種割引券、商品券、サービスなどの株主優待を次々にゲットしていく方法です。

知っている人から見れば何を今さらって記事ですが、

株などまったく触ったこともないという人向けに、必要なことだけをなるべくわかりやすく説明していきます。

まずは、先月末の自分の取引結果を見てください。

フジ
(8278)
イオンモール
(8905)
吉野家ホールディングス
(9861)
株購入時の
支払額(A)
196,300円181,100円644,000円
株売却時の
受取額(B)
194,689円180,710円643,702円
優待を獲得するために
使った費用(A➖B)
1,611円390円298円
獲得した優待イオン、フジなどで使える
割引券6000円分
イオンギフトカード
3,000円分
吉野家食事券
5,000円分

上記の表は優待を得るために株を購入、優待の権利確定後に株を売却した際の入出金明細です。

株の購入はすべて2月27日で、売却はすべて2月28日。

細かな説明は後で行うので、この段階ではこんなに得なんだってことがわかれば十分です。

この記事を書いている最中の3月7日に、12月29日確定日のライオン優待が届きました。

緑の箱の中に入っていたのは以上の品々。

ちなみに、この優待獲得に使った費用は、後で紹介させていただきますが27円です。

② 株主優待を獲得するためにまず準備すること

1. 証券会社に口座を作りましょう

まずは株の取引をするための口座を証券会社に作る必要があります。

証券会社はたくさんあって選び放題ですが、特にこだわりがないのであれば

ネット証券最大手の「SBI証券」を選んでおけば間違い無いです。

「SBI証券」のサイトにアクセスして口座を開設し、取引ができる状態にしましょう。

費用などは一切かかりません。利用できるキャンペーンがあるか確認した上で口座を開設しましょう。

株式口座を開設するにはマイナンバーカードが必要です。カードを手元に用意して手続きを進めてください。

2. 信用取引口座を開設しましょう

今回の記事で説明する取引では「信用取引口座」の開設も必要です。

信用取引っていうのは、おおざっぱに言うと証券会社からお金や株を借りて行う株の取引で、

自分が証券会社に預けている金額の3倍程度のお金を動かす取引ができたり、

借りた株を売却扱いにすることで株価が下落した際に利益を出すような取引ができたりします。

借りた株を売るっていうが分かりにくいと思いますが、具体例でいうと

500円の株を1000株借りて売り建てした場合、株価が480円まで下落した際に買い戻すと、差額の20円に1000(株)をかけた金額20,000円が利益になるというようなイメージです。

信用取引では自分の預けている金額以上の取引が可能なため、大きなリスクを伴う場合があります

優待獲得の際に利用するのは問題ないと思われますが、本格的な信用取引は必要な知識を身につけ経験を積んでからにしましょう。

信用取引口座開設の申請手続きに入ります。

「SBI証券」のサイトにユーザーネームとパスワードを入力してログインし、

①「国内株式」 → ②「信用 」→③「信用取引の専用口座開設はこちら」から進んで口座開設の申請をしましょう。

3. 優待銘柄をリストアップ

具体的にどんな株主優待があるのか調べてみましょう。

SBI証券にログイン → ①「国内株式」→ ②「株主優待」→ ③「株主優待検索」または少し下にスクロールして「○○月の株主優待」と進むと次のような画面が現れます。

赤枠の部分で色々と選択をして検索をかけることができます。株主優待検索のボタンから入った人はまず優待権利確定月を指定しましょう。

黄枠の部分、各銘柄欄の「優待情報の詳細を見る」ボタンをクリックすると優待内容を確認することができます。

例にあげた3月だと792社が優待を準備しているみたいです。

優待を得るには、「株を購入する際の株価 」X 「優待獲得に必要な株数」の金額を証券会社の口座に入金した上で注文を出すことが必要です。

自分の資金力と相談しながら銘柄を選択していきましょう。

4. クロス取引について理解しましょう

今回行うのはクロス取引(つなぎ売り)と呼ばれる取引で、

買い注文(現物買)と売り注文(信用売)を同じ株価で同時に約定させ、優待獲得の権利が確定した時点ですぐに「原渡し(げんわたし)」という方法ですべて決済します。

優待獲得のためにすべきことは、現物買注文・信用売注文・現渡し注文の3つだけ。

※現物買:証券会社の口座に預けている現金で株を購入すること。最も一般的な株取引。

※「現渡し」については⑤の章で説明します。

優待獲得の条件 → 権利付最終日の15時の時点で優待獲得に必要な株数を保有していること。

現物買で必要な株数を購入することで、優待獲得の条件をクリアします。

※信用取引でも株の購入はできますが、優待はもらえません。必ず現物取引で株を買いましょう。

現物買と信用売の注文を同時に成立させるのは、株価が変動した際のリスクをなくすためです。

権利付最終日の翌日には、優待分相当の株価が下落するのが一般的です。

もし現物買の注文だけで信用売の注文をしなかったとしたら、

株価が思ったほど下がらなかった場合など得をする場合もありますが、優待金額以上の損失を出す可能性も十分にあります。

クロス取引の場合は、同じ株価で同時に売りと買いの注文を成立させるため、

株価がどんなに動いても、「現物買で出た利益と信用売で出た損失」または「現物買で出た損失と信用売で出た利益」は必ず同じ金額になります。

クロス取引は、権利確定後に株価がどう変化しようと全く影響を受けず、わずかな手数料を支払うだけで優待はしっかりと受け取ることができるという取引です。

③ クロス取引で発生する費用について

クロス取引では前述の通り、株の現物買と信用売、現渡の3つの取引を行うことが必要ですが、

SBI証券の場合、現物買と現渡では費用は発生しません。

費用が発生するのは信用売を行った場合。

下の表は信用取引の種類別の手数料一覧です。

取引の種類取引手数料貸株料(信用売金利)逆日歩
制度信用無料1.1%支払う場合がある
一般信用無期限無料1.1%なし
短期(15日)無料3.9%なし

取引手数料は無料ですが、貸株料と逆日歩(※次の章で詳しく説明します)は支払わなければなりません。

※今回のクロス取引で関係する信用取引の種類については、⑤章のB「売り注文」のページで触れていますので参考にしてください。

貸株料や逆日歩について、具体例を使って説明します。

まず、下の表をご覧ください。12月末の権利確定日で優待を獲得した3銘柄です。

ライオンフジオフードグループ本社大塚ホールディングス
制度信用売制度信用売一般信用売(15日)
株価1,3201,4105,418
株数100100100
株購入時の支払額 A132,000141,000541,800
株売却時の受取額 B131,973139,771541,395
費用(A – B)27円1,229円405円
獲得した優待内容自社商品セット
(ハミガキ・洗剤など)
3000円相当の食事券
または自社関連品
3,000円相当の自社グループ製品
(飲料・食品等)

🔸費用の内訳

ライオン:貸株料27円(132,000円✖️1.1%➗365✖️7日)、今回逆日歩は発生せず

フジオフード:貸株料29円(141,000円✖️1.1%➗365✖️7日)、逆日歩1,200円(12円✖️100株)

大塚ホールディングス:貸株料405円(541,800円✖️3.9%➗365✖️7日)、一般信用売のため逆日歩はもともと発生しません

※12月末権利確定銘柄のため、正月期間を挟むことになり、貸株料や逆日歩を計算する際の日数が他の月よりも多くなっています。

クロス取引をした際の配当金の受け取りについて

信用売をした人は、証券会社に配当落調整金を支払う必要があります。

※配当落調整金:信用売では株を借りて取引するため、株主に本来なら受け取れるはずだった配当金相当額を支払う必要があります。

🔸配当落調整金

支払う配当落調整金の額
制度信用売配当金額の84.685%
一般信用売配当金と同額

クロス取引の場合は、現物取引をすることでいただいた配当金と、支払うべき配当落調整金がほぼ同額になるので、実質配当金はもらえないものと思っておいてください。

※現物買をすることで受け取る配当金からは所得税や地方税が引かれるため、収支はぴったりゼロにはなりません。

例 配当金が1,300円だった場合、受取額は所得税199円と地方税65円を差し引いて1,036円。一方、配当落調整金は制度信用売の場合、1,100円(配当金1,300円✖️84.685%)。

④ クロス取引のリスク 逆日歩(ぎゃくひぶ)について

株主優待の時期には、株を購入したい人の数が株を売りたい人の数を超え、取引に必要な株式が不足することがよくあります。

その際、証券会社は機関投資家などから株を調達しますが、その際の手数料を売り手側(制度信用取引で信用売をする人)が負担する必要があります。

その、売り手側が負担する手数料のことを「逆日歩(ぎゃくひぶ)」と言います。

この「逆日歩」こそがクロス取引を行う上での最大のリスクです。

逆日歩は権利付最終日の取引が終わった後に入札が行われて決まるため、自分がすでに取引を済ませているにもかかわらず、その取引にかかったコスト(これから支払うことになる手数料)が確定していないんです。

翌日の11時頃に一株あたりの逆日歩が発表されますが、

まれに逆日歩で支払う金額が優待の価値を超えることがあります。

※優待でもらえるのが3000円分の商品券なのに、逆日歩で5000円支払うというような場合です。

逆日歩で実際に支払う金額 = 一株あたりの逆日歩 X 株数

例えば、逆日歩が一株あたり20円で100株保有の場合は、20 X 100 = 2,000で、2,000円を支払う必要があります。発表される逆日歩は必要な日数分を加味した数字なので、日数をかける必要はありません。

過去の逆日歩発生状況なども参考にしながら、注文に進むかどうかは自己責任で判断しましょう。

※過去の逆日歩発生状況は、“調べたい銘柄名 + 逆日歩”で検索すればすぐに出てくると思います。

⑤ 具体的な注文方法について説明します。

令和6年3月末のスケジュールを例に説明させていただきます。

買い注文売り注文
3/26(火)A 現物買注文 B 信用売注文
権利付最終日27(水)現物買約定信用売約定C 原渡し注文
28(木)現渡し約定
権利確定日29(金)現物買受渡日信用売受渡日
30(土)
31(日)
4/1(月)現渡し受渡日

約定とか受渡って言葉がわかりにくいかもしれませんが、

約定っていうのは契約成立で、受渡日っていうのは支払日(決済日)っていうイメージでいいと思います。

優待獲得のためにすべきことは、A 現物買注文・B 信用売注文・C 現渡し注文の3つだけ。

優待を獲得するための条件は、権利付最終日の15時の時点で優待獲得に必要な株数を保有していることです。

AとBは権利付最終日前日の市場終了後の15時30分から権利付最終日の市場開始時間9時までの間、

Cは権利付最終日の市場終了後の15時30分から翌日の市場開始時間9時までの間に注文を入れましょう。

※3月末確定日の場合 AとBの注文時間は3/26の15時30分〜3/27の9時、Cの注文は3/27の15時30分〜3/28の9時の間となります。AとBはそれぞれが独立した注文ですので、どちらから先に注文をしても問題ありません。

A 買い注文

各銘柄のページなどで現物買のボタンをクリック

注文入力画面に入り、①市場の欄にあるSOR指定のチェックを外す → ②優待獲得に必要な株数を入力 → ③価格は成行なりゆき → すぐ横のボタンをクリックして寄成よりなり → 期間は当日中→他の項目は触らなくて大丈夫です。

※SORはより有利な条件で約定させるためのサービスのような機能。注文で成行を選ぶ場合はチェックを外す必要があります。

※成行で寄成っていうのは、株価はいくらでもいいかからその日市場が開いて始めてつける株価での約定を希望しますという意味です。

その後、④取引パスワードを入力→注文確認画面へのボタンをクリック→次の画面で問題がなければ注文発注のボタンをクリックし、買い注文の予約が完了です。

B 売り注文

株を借りて売ることになるので信用売での注文が必須です。

信用売りには「日計り」、「一般(15日)」、「制度(6ヶ月)」の3つの方法があります。

「日計り」は1日限りの取引で株を権利確定日まで持ち越せないため不適。

前日もしくは当日の注文で、「一般(15日)」枠の設定があってまだ空きがある場合は迷わずこれを選んでください。逆日歩を支払うことなく有利な条件で取引をすることができます。ただ「一般(15日)」は扱っている銘柄が少なく、実際はほとんど関係ないっていうのが実情です。

※「一般(15日)」枠に空きがあるかどうかは、注文入力画面の株数の欄で確認することができます。

以降は、最も一般的な「制度(6ヶ月)」での信用売りの説明です。

各銘柄のページなどで信用売のボタンをクリック

現物買いと同じ株数を入力→価格は成行→すぐ横のボタンをクリックして寄成→期間は当日中→他の項目は触らなくて大丈夫です。

その後、④取引パスワードを入力→注文確認画面へのボタンをクリック→次の画面で問題がなければ注文発注のボタンをクリックし、信用売注文の予約が完了です。

上記の買い注文と売り注文を権利付最終日の市場が開く前に入れておけば、

市場が開いた直後(午前9時過ぎ)につく始値で両方の注文が約定(売買契約が成立)します。

C 原渡し

原渡しというのは、通常の取引のように売り建てた株式を買い戻して決済するのではなく、

手元にある同銘柄同株数の株を差し入れることで互いを相殺する手法です。

現渡しの注文は権利付最終日の取引終了後の15時30分以降に行いましょう。

ポートフォリオのページにある保有中の信用売銘柄欄の横にある原渡しのボタンから入って株数を指定して決済しましょう。

返済日が延びるたびに手数料が増えていきますので、優待獲得の見込みがたった後は速やかに原渡しで決済をしましょう。

⑥ まとめ

非常に複雑でややこしい記事になってしまいましたが、実際に行う作業は3つの注文だけ。

一度おぼえると、びっくりするくらい簡単な作業の繰り返しで株主優待を手に入れることができます。

今回説明させていただいたのは、クロス取引と呼ばれる短期の取引で、

限られた資金を回転させて、株主優待を次々にゲットしていく方法です。

逆日歩などのリスクもあることを認識した上で、自己責任で取引をしてください。

資金に余裕のある方、購入予定の銘柄が将来的に株価の上昇が見込まれる場合などは、クロス取引などには手を出さず現物買だけで取引をした方が配当ももらえますしメリットが多いかもしれません。

必要な知識を身につけて楽しくお得な優待ライフが送れるといいですね。

あと、注文時に数字を間違えたりすると大変なことになりますので、入力や確認はくれぐれも慎重に。

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