2024.2 東京2泊3日
美術館巡りの旅 2・3日目

2024年2月の初旬、2泊3日の東京旅行で美術館6館を回った際の日記です。

今回はその2日目と3日目。

東京滞在中宿泊した「アパホテル 上野広小路」での朝食と、「国立西洋美術館」「東京都美術館」「東京国立博物館」「国立新美術館」での美術鑑賞などを紹介する記事です。

例によってメインの美術鑑賞記以外の記事が多くなっていますがご容赦ください。

2日目 東京

アパホテル上野広小路 朝食

1階の入り口付近にあるレストランが朝食会場です。

入ってびっくりしたのは狭いこと。席も少なくて10人入るともういっぱい。

料理を取り分けて部屋に持ち帰るための容器が用意されていました。

食材の種類も先月行ったドーミーインと比べると三分の一くらいって感じで、

ホールと調理場の両方を男性のスタッフが一人で切り盛りしていていました。

それぞれの料理は美味しかったんですが、朝食を楽しみに訪れるホテルではないかもしれません。

③ 国立西洋美術館

ル・コルビュジエが設計に関わったとされる建築物です。

建物前の広場には人がまばらでしたが、入館するといつも通りたくさんの人が鑑賞中でした。

入り口のある建物が本館で、階段を上がった2階から有料エリアの展示がスタートです。

14世紀から18世紀までの作品が時計回りにぐるりと並んでいます。

ルネサンスやバロックの絵画ってくくりでいいと思いますが、この辺りは全くの守備範囲外。本当にびっくりするくらい興味がない。

立ち止まることなく一気に通り抜けます。

新館に入ると徐々に好みの作品が現れ始めます。

ギュスターヴ・クールべ「もの思うジプシー女」

この1869年のクールベあたりが境目で、雰囲気が変わり徐々に好きな作品が増えてきます。

ベルト・モリゾ「黒いドレスの女性(観劇の前)」
エドガー・ドガ「舞台袖の3人の踊り子」
エドゥアール・マネ「ブラン氏の肖像」
ピエール=オーギュスト・ルノワール「木かげ」

ルノワールってこんな絵も描いてたんですねって作品。

ここから下はしばらくモネが続きます。

クロード・モネ「雪のアルジャントゥイユ」
クロード・モネ「セーヌ河の朝」
クロード・モネ「黄色いアイリス」
クロード・モネ「陽を浴びるポプラ並木」
クロード・モネ「舟遊び」
クロード・モネ「睡蓮」

この美術館の目玉商品的な作品、結構大きめのモネ「睡蓮」です。

結構激しめっていうか、強い感じの睡蓮です。

下は上の「睡蓮」の部分拡大です。

2階のモネの部屋を出て1階へ降ります。

ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ「貧しき漁夫」

オルセー展で見た同タイトルの絵だったか、ずばりこの絵だったかはっきりしませんが、とにかく記憶に深く刷り込まれている作品です。

静かでやるせない時間がどこまでも続いていくというような印象を受けた記憶があります。

アリスティード・マイヨール「花の冠」

初展示作品とのこと。静かな作品です。

フィンセント・ファン・ゴッホ「ばら」

明るい緑のゴッホ、とてもいいです。

ロヴィス・コリント「オークの木」
藤田嗣治「坐る女」
パブロ・ピカソ「小さな丸帽子を被って座る女性」

この作品も初展示作品。色合いも含めピカソ感満載な作品です。

フェルナン・レジェ「赤い鶏と青い空」
ジョアン・ミロ「絵画」
シャイム・スーティン「心を病む女」

目と赤い服がとにかく印象的。静かな狂気。

④ 東京都美術館

「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」展

EPSON MFP image

作品の撮影は禁止ということだったのでカメラは持ち込まず、写真は薄暗い入り口付近でスマホで撮ったこの3点のみ。

アメリカの東海岸、ボストンの近郊にあるウスターという町にある美術館の所蔵作品を中心とした展覧会です。

印象派がアメリカの作家に与えた影響といったかなりニッチな部分に焦点を当てた展覧会です。

また、モネの睡蓮を初めて購入した美術館ということでその交渉の経緯などを詳しく説明するコーナーもありました。

多くの作品が初来日ということをアピールされてるようでしたが、やっぱり全体的に弱い感じは否めないと思います。

ビッグネームの画家の作品もたくさんありましたが、正直モネの睡蓮だけが突出している印象でした。

⑤ 東京国立博物館

特別展「本阿弥光悦の大宇宙」

パンフレット 表表紙
パンフレット 中面右
パンフレット 中面左
パンフレット 裏表紙

本阿弥光悦(1558-1637)は江戸時代初期に活躍した芸術家です。

徳川家康(1543-1616)とほぼ同じ時代の人といえばなんとなくイメージがしやすいと思います。

本阿弥家は京都で刀剣の研磨や鑑定などを生業としていた職人の家だったため、大名や公家、さまざまな職人集団などとの交流がありました。

光悦の父はその本阿弥家の婿養子でしたが、当主に後継が生まれた後に分家となっているので、光悦が本阿弥家本家の当主だったことはありません。

関ヶ原から大阪の陣へと続く激動の時代の中で大きな影響は受けたみたいですが、裕福な家系であったこと、当代一流の人々と交流できる環境があったことなど、恵まれた環境で創作活動に専念することができたみたいです。

光悦はさまざまなジャンルで活躍した掛け値なしの天才芸術家ですが、中でも書と陶芸では優れた業績を残しています。

書では今回展覧会のメイン的な扱いで俵屋宗達との共作「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」(重要文化財)が展示されてました。

でもですね、正直全くわかりません。墨の濃淡がとか、リズム、音楽なんて言葉を使って語られることもありますがちんぷんかんぷん。まだまだですね。

変わって陶芸。

茶碗に関していえば、光悦作で現在まで残っているものが30個程度らしいんですが、そのうちの10個が今回展示されています。

楽家2代・3代との交流の中、楽家の窯を使って焼かれた茶碗たちで、どう考えても楽家側が先生なんだと思いますが、

光悦の作品の1つが国宝(残念ながら今回は出品されてません)、5つが重要文化財(うち4個が今回出品されてます)という先生を差し置いてのとんでもない高評価。

国産のお茶碗で国宝指定されているものは2つだけ。うち1つが光悦作ってことだけを見ても彼がどんなに非凡な人だったのかがわかるんではないでしょうか。

生地の厚さや佇まい、ぐにゃぐにゃ加減などをじっくり観察しているとそれぞれの器の個性が見えてくるような気がして楽しいですよ。

この日一番気に入ったのは「赤楽茶碗 銘 乙御前」でした。

途中、作品の高精細画像を大画面に映し出すコーナーがあって、ここだけ撮影可ってことでした。

平成館から本館に戻り、

建立900年 特別展「中尊寺金色堂」

今回の展覧会では「中尊寺」から50点の文化財がやってきていて、

うち41点が国宝で7点が重要文化財。ほぼ、国宝展です。

「中尊寺」があるのは岩手県の南部にある人口7000人ほどの小さな町、平泉町です。

地理的には盛岡と仙台の中間あたり、東北地方全体で見ても真ん中あたりに位置します。

その一部は平安時代の末期、奥州藤原氏によって造られたいわば仏教都市のようなもので、浄土思想に基づく建築物や庭園群は世界文化遺産に指定されています。

奥州藤原氏が当地で繁栄を極めた後、4代泰衡の時代に頼朝に滅ぼされるまでの経緯はドラマ化されたりもしてるのでご存じの方も多いんじゃないでしょうか。

その平泉の遺産群の中でもひときわ異彩を放つのが国宝「中尊寺金色堂」です。

建物の壁や天井、床など至る所に金箔が貼られた唯一無二の建築はまさに極楽浄土?

当時、数多くの悲劇を乗り越えた先で、信仰の拠点として初代の清衡が建造したとされます。

また、堂内は中央と右・左の3つの壇で構成されていて、それぞれに初代から3代までの遺体が金の棺に入れられて安置されています。

今回の展覧会では中央の壇上に配置されていた11体の仏像(すべて国宝)がすべて展示されています。

唯一撮影が許可されていた1/5スケールの模型です。

また、出口付近では超高精細8KCGで再現された実物大の金色堂がスクリーンに映されていて大人気でした。

3日目 東京→新居浜

ホテルをチェックアウトした後、千代田線で乃木坂へ。

⑥ 国立新美術館

この日もいくつかの展覧会は開催されていたようでしたが、今回の目的はこの屋外展示。

和田礼治郎「FORBIDDEN FRUIT」 2024年1月24日 ~ 6月10日

朽ちていく時間も含めてのアートです。

訪問時は会期が始まってすぐの頃で、冬場でもあったので、ただキレイっていう印象。

会期は6月までってことなので、かなり変化するはずです。

ちょっと恐ろしいような気もしますが、怖いもの見たさもあってぜひ見てみたいものです。

通う度にまったく違った見え方がするタイプのアートなのかもしれません。

この後、六本木に行って美術展と昼食を楽しむ予定でしたが、大雪の予報が出ていたので予定を変更。

東京駅へ向かう途中、銀座に立ち寄って少しだけぶらぶらです。

写真は銀座4丁目交差点の日産ショールームで撮影した「ニッサンR380 (A-II型)」。

「松屋」や「GINZA SIX」でぐい呑みや写真集などを物色した後、早々に東京駅へ。

東京駅の地下にあるお店「名古屋コーチン 一鳳 東京弌鳥」で遅い昼食。親子丼が売りの店のようでしたが2000円という金額にビビって「チキン南蛮膳」980円を注文です。たっぷりのタルタルで、ご飯・味噌汁おかわり自由。お腹いっぱいでバス乗り場へと向かいます。

東京駅のバス乗り場がざわついています。列に並び、成田までのチケットを購入しましたが、なんと成田以外の目的地行きのバスはほぼすべてが運休。外は雨しか降ってなかったんですが、雪を予想しての計画運休ってことなんだそうです。

大雨の中を成田へ向かい、飛行機もほぼ定刻で離陸することができました。雲を通過する際に揺れますってアナウンスがあったんですが、思っていた以上に揺れました。悲鳴が上がるかどうか微妙なラインの揺れで、上下よりも左右に結構振られた感じですね。数十分揺れ続け、雲を抜けたところで眼下に京都の夜景が現れました。そのあとは普通に飛行を続け無事松山空港に到着です。

家に帰ってテレビをつけると、東京大雪のニュース。成田空港に着いた頃から都心でも雪が積もり始めたみたいで皆さんご存知のあの大雪です。無事家にたどり着くことができて本当によかったです。

まとめ

今回の東京行きは2日目夕食を一緒に食べたHさんの都合もあって急遽決まったもので、直前まで目的地は四万温泉積善館2泊の予定でした。

今年は東京でどうしても見たい美術展もなかったし温泉に行くかって感じだったんですが、結果的には行かなくて大正解。この大雪の時に山中に突入してたらと思うとゾッとします。

あまり期待してなかった今年の東京美術館巡りですが、アーティゾンや西洋美術館の新収蔵作品など思いがけない出会いもたくさんあって結果的には大満足の旅になりました。

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