南青山フラワーパーク  

青山霊園にて

十年以上昔の話ですが、青山霊園によく通っていた時期がありました。

きっかけが何だったかすっかり忘れてしまいましたが、20回以上は行ったと思います。

所在地は東京都港区南青山2丁目。都心の一等地です。

大きさは南北が約800mで東西は中央部分で約400m。東京ドームでいうと5個分くらいの大きさです。政治家や文化人、歴史上の人物など有名な方のお墓も多いですね。

霊園中央の交差点。休憩がてら30分くらい車を眺めていたことがありますが、土地柄か高級車、外車の比率がかなり高めです。

※上の2点の写真は六本木ヒルズ森タワー52階の東京シティービューから撮影です。

中央の桜並木は有名ですが他にもさまざまな樹木が植えられていて、花も頭の上や足元などあちこちで咲いています。ビワや桃、柑橘、サクランボなど果物の木もいろいろあったように記憶しています。

で、ここからが本題ですが、それぞれのお墓にお供えされている花がすごいんです。もちろんすべてのお墓ではなく、一部のお墓の話なんですがかなり個性的な花が供えられているケースが多いんです。

我が家のお墓がある新居浜の墓地では、供えられている花の約9割がハナシバ(シキミ)です。瀬戸内のある島や秋田角館の墓地では色とりどりの造花が供えられている風景も見ました。

青山霊園の場合、土地柄裕福な方のお墓が多いってこともあるんでしょうか、四国の墓地などではめったに見ないような立派な花や珍しい花が供えられていたりします。花の種類や色など本当にバラエティーに富んでいます。

枯花(彼花)

ある時、供えられている花がいい感じに枯れてきているのを見て美しいと思う瞬間があって、それからは夢中になりましたね。

縁もゆかりもない青山霊園ですが、出勤前や休日に立ち寄ることが多くなりました。

銀座線の外苑前駅で降りて、梅窓院の横を抜け青山運動場の横から霊園に入るのがいつものコース。

散歩している人やゴルフクラブを振っている人、当時はダンボールの家で生活している人なんかもいたりして、出会うたびに会釈したり挨拶したりしながら撮影を続けます。

人様のお墓の花を撮影させてもらうという、いささか罰当たりな行動でもあるので心の中での挨拶や念仏などは欠かさずやっていました。

花は日々傷んで枯れていきます。

でも、数日なのか数時間なのかはわかりませんが、枯れていく途中に必ず輝く瞬間があるというような妄想に取り憑かれて、それを見逃すまいと定点観測的に決まったコースを歩くことが多くなりました。

最初のうちは手当たり次第に写真を撮っていましたが、枯れた花を見るにも自分なりの価値観・基準みたいなものができてきて、回数を重ねるごとに撮影枚数はどんどん減っていきました。

20数回通ったうちの数回(4〜5回?)はまったく写真を撮らない日もありました。

それだけに自分好みの枯れ花に出会った時は興奮したのを覚えています。(←変態)

プチ自慢 その1

霊園事務所のそばでよく会う猫がいました。

毛色は白黒(グレー?)で目つきが鋭め、耳の一部が欠けたワイルド系の猫だったと記憶しています。

最初の頃は呼んでもまったく相手にされず、ちょっと近づいただけで一目散に逃げ出します。

何度か会った後、5mくらいの距離で写真を撮れたことがあって、そこから勝負がスタートです。

何もしないからねー。怪しくないからねー。怪しい人しか口にしない言葉を唱えながら距離を詰めていきます。

目があった状態で動いたり、カメラを構えたりすると即座に身構えられます。

猫が視線を外すたびに、座った状態のまま数十センチ距離を詰めます。動いたことを感づかれると多少身構えられますがなんとか乗り越えて、またお互い静止したままの時間が始まります。

この作業を延々と続けます。(←どれだけヒマなんですか)

距離を詰めきって、猫が足元までやってきて横や後ろに回り込んできた時は嬉しかったですね。

プチ自慢 その2

出勤前に霊園に立ち寄り一通り撮影を終えたところで、持っていたはずのカバンが手元にないことに気づきました。

この日はそのカバンとカメラバッグの他に大きな三脚も持ってきていて、いつもと違う感じだったせいもあるんでしょうが焦りましたね。すぐさまカバン探しのスタートです。

今きた道を引き返します。

ここで自分を褒めたいんですが、結構何回も角を回る複雑なコースだったんですが、通ってきた道が正確にわかったんです。

何回も通ううちに、歩くコースがだんだん決まってきていて、それを完全に憶えていたということです。

霊園の4つのブロックをまたいで約20分、途中20回くらいは角を曲がりながら、合計1キロくらいは戻ったと思います。

入口近くの個人墓地の階段の脇に立てかけてあったカバンを無事発見した時は思わずガッツポーズです。

この時の満足感は凄まじかったですね。(会社には当然遅刻しましたが、何か?)

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